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2017年、積水ハウスが土地購入代金として55億円を騙し取られる地面師詐欺事件が発生。この事件に対する責任を恐れた当時の社長・阿部俊則は、真相解明に積極的だった会長・和田勇を退任に追い込みました。この人事に強い不快感を示したのは、国内よりもむしろアメリカの株主でした。
アメリカの反応
2018年3月30日、フィラデルフィアの地元紙「フィラデルフィア・インクワイアラー」は、このクーデターと詐欺事件について報道しました。この記事の情報源となったのは、日系アメリカ人弁護士のウィリアム・ウチモトで、彼は和田からクーデターの詳細を聞き取ったといいます。ウチモトは、このような出来事はアメリカではあり得ないと愕然としました。
専門家の意見
ウチモトや、元SECスタッフ弁護士のメリット・コールは、積水ハウスの調査報告書が開示されなかったことを批判。コールは、アメリカでは調査報告書の非開示は不可能だと指摘し、投資家に正確で迅速な情報を提供することが重要だと述べました。
株主総会の結果
4月26日に行われた株主総会では、多くの個人株主からも反発の声が上がりましたが、阿部も稲垣士郎も取締役に再任されました。ただし、多くの機関投資家はこの選任に反対票を投じました。阿部の賛成票は69.09%、稲垣は73.44%にとどまり、他の取締役候補の95%以上の賛成に比べて低い結果となりました。
ガバナンス問題
積水ハウスの海外株主の多くは、ISSやグラスルイスの反対推奨に従いました。また、日本の機関投資家でも三井住友信託銀行やアセットマネジメント・ワンなどが、阿部と稲垣の選任に反対しました。
ウチモトは、アメリカならばSECが直ちに調査を行い、取締役に対する厳しい対応が行われると述べています。積水ハウスのクーデターは、企業ガバナンスの専門家や投資家にとって「隠蔽のための解任」と映り、日本企業のガバナンス問題が浮き彫りになりました。
コーポレート・ガバナンスの重要性
アメリカやイギリスでは、過去の企業不祥事を教訓にコーポレート・ガバナンスの議論が進んでおり、OECDでも基本原則が整備されています。日本でも金融庁が2014年に「スチュワードシップ・コード」を導入し、日本取引所も「コーポレートガバナンス・コード」を導入しました。しかし、今回の事件で明らかになったように、日本の企業統治にはまだ改善の余地があります。
この記事は、積水ハウスの地面師事件とその後のクーデターが引き起こした問題を明らかにし、企業ガバナンスの重要性を訴えています。特にアメリカの株主が強く反発した点から、日本企業のガバナンスに対する国際的な視線が厳しいことがうかがえます。
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