川崎市幸区にある神奈川県営河原町団地で発生した放火事件について、神奈川県警幸署は10日、団地に住む無職の宮川怜斗容疑者（28）を建造物等以外放火容疑で逮捕した。宮川容疑者は容疑を認めており、団地内で発生していた複数の不審火への関与も示唆している。
団地内で続いた不審火
今回の逮捕容疑は、8月23日午前1時半ごろ、団地内の65歳女性の自宅にかけられていたすだれと、近くに置かれていたプランターに火をつけたというもの。署によると、団地内では8月12日から25日にかけて3件の不審火が発生しており、署は宮川容疑者がこれらの事件にも関与している可能性があるとみて調査を進めている。
団地周辺ではさらに、公園などで5件の不審火が発生しており、8月22日には50代の男性がコンビニでの強盗未遂容疑で逮捕された際、「ベンチやゴミに火をつけた」と一部の不審火への関与を認めていた。しかし、その後も不審火は続いていたため、住民の不安は募っていた。
容疑者の任意同行と逮捕の経緯
9月9日、宮川容疑者から警察署に「家族のことを聞いてほしい」との電話があり、不審火に警戒していた捜査員が現場に出向いて彼を任意同行した。その後、署での取り調べの中で宮川容疑者は不審火についての関与をほのめかし、今回の逮捕に至った。
住民たちに広がる安堵の声
一連の不審火に対し、団地内では多くの住民が不安な日々を過ごしていた。下の階で不審火があった80代の女性は「毎日が不安で仕方なかった。自治会も連日、火の用心を呼びかけていた。容疑者が見つかって本当に安心した」と安堵の表情を見せた。
また、自治会役員の女性も「ずっとパトロールを続けてきたが、いつまで続ければよいのか心配だった。容疑者が逮捕されてほっとしている」と語った。宮川容疑者については「噂でもどういう人かは聞いたことがなかった」と面識がないことを明かした。
今後の捜査と住民の安心
今回の逮捕によって、団地内で続いていた一連の不審火事件は大きな進展を見せた。しかし、署は他の不審火や関連事件についても宮川容疑者の関与を慎重に調査していく方針だ。
住民たちにとって、この逮捕はひとまずの安心をもたらすものとなったが、地域全体の安全が確保されるまで、引き続き警戒が必要とされている。
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