2024年9月2日、東京の一角に集まったメディアのカメラが、一人の格闘家を捉えていた。その格闘家とは、平本蓮、26歳。彼が緊急記者会見を開くと発表した瞬間から、注目が集まっていた。この会見は、単なる釈明ではなく、彼のキャリアと名声を賭けた戦いの舞台となることが予感されていたのだ。

平本は、白いストライプのスーツに身を包み、左右に弁護士2人を従えて壇上に立った。その表情は、緊張と決意が混ざり合ったものであり、彼の言葉に注目が集まる。冒頭、平本は静かにマイクに口を寄せ、「今回の騒動について、私の口から直接話したいと思います」と切り出した。

「この度のドーピング疑惑について、大変お騒がせしております。RIZINや引退をかけて戦った朝倉選手、そして会場に足を運んでくださった観客の皆さん、格闘技ファンの皆さんにご心配をおかけしてしまったことを、心からお詫び申し上げます。しかし、私は断じてドーピングなどしておりません。ドーピングをお願いしたことも、一切ございません」と平本は強く断言した。

この発言に続けて、彼は赤沢幸典との関係についても言及した。赤沢氏がSNS上で公開した告発文と音声データは、瞬く間にネット上で広まり、平本への非難の声が高まっていた。しかし、平本はこれに真っ向から反論。「赤沢氏から『トレーニングの効率を上げるサプリがある』と勧められ、彼を信頼して購入しましたが、結局は一度も使っていません。所属事務所から、風邪薬でもドーピング反応が出る可能性があると警告されたためです」と説明した。

平本の話は、彼がどれほど慎重に試合準備を進めてきたかを物語る。「朝倉選手との試合に向けて、これまで以上にフィジカルトレーニングに力を入れてきました。RIZINのドーピング検査結果が出る前に、皆さんに直接このことをお伝えしたかったのです。なぜなら、私には潔白を証明する自信があるからです」と語る彼の目には、決意の光が宿っていた。

だが、平本にとって最大の驚きは、信頼していた赤沢氏からの告発だった。「赤沢氏がなぜこのようなことをするのか、理解できません。対立関係になるのは望んでいませんが、彼の告発が事実無根であることを証明したいと思っています」と平本は戸惑いを隠さず、今後の対応を慎重に考えている様子を見せた。

今回の騒動は、平本が7月に行われた「超RIZIN3」での試合で、朝倉未来選手に勝利したことがきっかけで勃発した。SNSを中心に広がったドーピング疑惑に、RIZINの榊原信行CEOも対応に追われることとなった。榊原氏は、自身のSNSで「ドーピング検査の結果を踏まえて、来週後半には記者会見を開く予定です」と発表しており、今後の展開が注目されている。

騒動の発端は、総合格闘家である赤沢幸典氏がSNS上で、平本とのやり取りと思われるスクリーンショットを公開し、自身の過去のドーピング使用を告白したことに始まる。赤沢氏は、平本にドーピングを手配し、使用を促したとする主張を3000字以上にわたる長文で発信。さらには音声データも公開し、平本への非難が高まった。

平本蓮のこれまでのキャリアは、常に挑戦と進化の連続だった。若干26歳にして、格闘技界で確固たる地位を築き上げてきた彼にとって、この騒動は最大の試練となるだろう。今後の展開次第で、彼の名誉とキャリアが大きく左右されることは間違いない。しかし、彼が語る言葉には、何よりも強い「真実への信念」が感じられる。

RIZINの公式発表、そして今後の平本蓮の動向から、目が離せない。彼の潔白が証明されるのか、それとも新たな事実が浮かび上がるのか。格闘技ファンのみならず、多くの人々がこの問題の結末を見守っている。

引用ニュス:https://www.sponichi.co.jp/battle/news/2024/09/02/kiji/20240902s00003000240000c.html