自民党の有力派閥「為公会(いこうかい)」、現在の「志公会(しこうかい)」として知られる麻生派を巡る裏金疑惑が、再び注目を集めています。今回、2017年以前の派閥の政治資金パーティー収入に関する裏金問題について、長年この派閥に所属していた元議員が取材に応じ、その実態が明るみに出ました。

この元議員は、麻生派の中でも経験豊富な閣僚経験者であり、彼の証言は驚きをもって迎えられました。彼は「パーティー収入のうち、ノルマ以上に売り上げた分は、政治資金収支報告書に記載せず、裏金として処理していた」と証言しました。さらに、「不記載が違法だと考えていた議員は誰もいなかった」と述べ、当時の麻生派内で裏金作りが暗黙の了解として広く行われていた可能性を示唆しました。

このような証言が出た背景には、派閥のパーティー活動に対する強いプレッシャーがあります。元議員によれば、パーティー券を売ることは議員たちにとって非常に重要であり、誰もが「一生懸命お金を集めていた」と言います。議員たちはその過程で、ノルマを達成するだけでなく、それ以上の収入を得ることが求められていました。しかし、これが裏金として処理されていたという事実について、彼は「意識的にやっていたことではない」と強調します。

特に注目されるのは、彼の「後になって違法だったと言われてもみんな困る」という発言です。これは、当時の派閥内で裏金作りが違法だと認識されていなかったことを示しています。選挙や日々の政治活動に追われていた議員たちは、詳細な資金管理まで気を配る余裕がなく、報告書の不記載が違法であるとの認識が薄かったというのです。

この問題が浮上するきっかけとなったのは、2017年に為公会が山東派などと合併し、「志公会」に名称を変更したことです。合併後は、パーティー収入の還付金が正式に収支報告書に記載されるようになりましたが、為公会時代の収支については不透明な部分が残されています。これにより、一部報道や野党からは、為公会時代の収支不記載が意図的な裏金作りであったのではないかとの疑念が生じています。

志公会の事務局は、この問題に対する取材に対し、「為公会は事実上活動を停止しているため、全ての詳細を把握しているわけではない」としつつも、「法令に基づき、適正に収支報告を行ってきた」と主張しています。しかし、今回の元議員の証言によって、裏金作りが日常的に行われていた可能性がますます強まってきました。

さらに、この問題の核心に迫る新たな証言が出てきました。薗浦健太郎元衆院議員の元秘書が、2017年に為公会のパーティー収入から分配された380万円を、事務所の裏金用口座に入れたと東京地検特捜部に対して供述していたことが明らかになったのです。彼の証言によれば、このような裏金作りの仕組みは、少なくとも2017年以前から存在していたとされています。

また、別の麻生派議員の現職秘書も、「麻生派におけるノルマと還付の仕組みは、2017年のはるか以前から存在していた」と証言しており、この問題が長期にわたって続いていたことを示しています。このような証言が続々と出てくる中で、派閥内での裏金作りが広範かつ常態化していた可能性が一層強まっています。

この問題の重要性は、自民党内の派閥運営のあり方や、政治資金の透明性に対する疑問を投げかける点にあります。政治資金規正法違反が問われる可能性がある中で、志公会はどのようにしてこの問題に対応するのか。今後、国民やメディアの厳しい視線が向けられることは避けられないでしょう。

麻生派は、これまでも自民党内で強い影響力を持ってきましたが、今回の裏金疑惑によって、その影響力がどのように変わるのか、今後の動向が注目されます。政治資金の不透明さが信頼性を損なう中で、志公会がいかにして信頼を回復するのか、その道筋を示すことが求められています。

この問題が解決されるまでには、まだ多くの時間と努力が必要ですが、国民に対する説明責任を果たし、透明性のある政治を実現するための一歩となることを期待したいところです。

引用ニュース:https://news.yahoo.co.jp/articles/6677dedaf2944c9c4c40864e051fc0b114e7a44d