新型コロナウイルスの影響で多くの企業が休業に追い込まれた際、国は雇用調整助成金(雇調金)を提供し、従業員の雇用を維持するための支援を行いました。しかし、この制度を悪用した詐欺事件が発覚。2024年9月5日、警視庁は詐欺容疑で指示役を含む6人を逮捕しました。この事件の背後にはどのような手口が潜んでいたのでしょうか?

事件の概要:

逮捕されたのは、東京都板橋区に住む伊吹治容疑者(54)と江戸川区に住む塚原敏雄容疑者(54)ら6名。彼らは、新型コロナウイルスの影響で休業したと虚偽の申請を行い、国の雇調金や緊急雇用安定助成金をだまし取った疑いがあります。特に、東京都杉並区に所在する介護サービス会社が従業員14名に対して休業手当を支払ったとする虚偽の申請を行い、2021年10月から11月にかけて計約1900万円を不正に受け取っていたとされています。

詐欺の手口:

この事件で注目すべきは、詐欺の詳細な手口です。伊吹容疑者が指示役として、不正受給の計画を立て、塚原容疑者らが実務を担当。具体的には、塚原容疑者らが申請書類を偽造し、東京労働局に提出しました。申請書には、架空の従業員や休業手当の支払いが記載されており、これが審査をすり抜けて助成金が支給される結果となったのです。

伊吹容疑者は詐取した金額の2割を自身の報酬として受け取り、塚原容疑者らは3割を手に入れたとされています。詐取金の分配が巧妙に行われ、詐欺の利益が各容疑者に還元されていました。

1億円規模の不正:

警視庁によると、この事件で不正受給された金額は、これまでに確認されている1900万円をはるかに超え、総額約1億円に上ると見られています。捜査2課は、伊吹容疑者らが他の事業者とも共謀して同様の不正受給を行っていた可能性があると考えており、さらなる調査が進められています。

社会への影響:

今回の事件は、新型コロナウイルスの影響で苦境に立たされた企業や労働者を救うために設けられた制度を悪用した極めて悪質な事例です。本来、助成金は従業員の雇用を守るために使われるべきものであり、その制度が不正に利用されたことは社会全体に大きな影響を与えます。

さらに、これまでにも多くの雇調金の不正受給事件が報じられており、この問題がいまだに根深く存在していることが浮き彫りになりました。詐欺による財政的な損失だけでなく、制度の信頼性が損なわれることも懸念されます。

組織的な詐欺:

今回の事件で明らかになったのは、単独の犯行ではなく、複数人が関与した組織的な詐欺であるという点です。指示役として伊吹容疑者が中心となり、他の容疑者が書類の作成や提出などを分担して行っていたため、不正が長期間にわたって続いていた可能性があります。

警視庁は今後、他の共犯者や関連企業に対しても捜査を進め、詐欺の全貌解明に努めるとしています。

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引用ニュース:https://news.yahoo.co.jp/articles/9fa02d3d4cf046bf1d940c6597227c9dba08bc7d